直に観る浮世絵版画は美しい!

10月16日(金)から始まった「手に取って観る浮世絵」展。
広重(安藤は本名、最近は号として統一した歌川広重とされていることが多い)の最初の保永堂版「東海道五十三次」と、喜多川歌麿の美人画撰は、長い間しまい込まれて紙にシミを作るだけで人に愛されることなくきたこの復刻版シリーズを、多くの人に見ていただきたく、思い切って額装無しで展示し、間近に版画の色面の美しさを鑑賞してもらえるようにしました。

広重の「東海道五十三次」は最初のヒット作であり、この後三十種を超える東海道ものの中でも秀逸と評価されているものの復刻版画です。
大胆な遠近法を使った構図に木版画の特性を生かしたぼかし技法や濃淡をつけることでの空気遠近法も加え奥行きのある画面構成。そこに各地の生活や旅する人々の様子が生き生きと描かれ、さらに加えて、雨や風、雪などの自然現象も余すところなく表現されていて、広重の他のシリーズと比べても躍動感や臨場感にあふれたシリーズだと思います。

歌麿の美人画は明快な構図と簡潔で美しい色彩に酔いしれていただけます。白い肌を浮き立たせるべく、輪郭線を省いてバックの色だけで顔を浮き立たせたり、空刷りという技法で鼻や胸、煙草の煙など凹凸だけで表現したものや、華やかな雲母摺という表面にキラキラ光沢を乗せた画面などは直に版面を観ていただいて初めて分かるものだと思います。
歌麿の美人はどれも理想化された同じ顔のように見えますが、その仕草や表情に彼女たちの内面性を表現しようとした歌麿の才能が感じられます。

妙なる箱展はただただ楽しい!

妙なる箱展は各々が何を持って「妙」とするかその捉え方が面白い。「妙」という様々な意味を持つ言葉がお題となったことで、総勢39名のバラエティーに富んだ表現が生み出されました。大作中心で発表されてきた方は如何に小さい中で、自分の表現を出すか悩まれたり、箱の大きさがハードルを低くした事で、生れて初めて人前に発表した方も在り、実に楽しめる展覧会となりました。

込み入った作業があったり、箱からかなり飛び出しているものがあったり、工芸作品、立体作品、箱全面に描いた作品、写真、詩、現代アート等々

画像では十分お伝え出来ません。是非実物をご覧ください。1周年記念の箱もお渡しします。とお誘いしたいのですが、何と台風が接近してきています。

暴風警報が京都府に出された場合は臨時休廊します。

祇園祭の山鉾巡行を見がてら、画廊に寄ろうと思って下さっている方は、ご連絡下さい。妙なる箱展をご覧いただけるように致しますが、くれぐれも気をつけてお越しください。

郡山ヒロアキ展―新しい命の始まりー

山の中で腐敗し朽ちて土に帰ろうとしていた木の残骸と言うべき物を持ち帰り、苔むしたところ、腐りきったところ、害虫に蝕まれていたところを剥がして、磨いていくうちに、まだ木として生き残っていた場所にたどり着く。どんどん進めていくと、輝かしい命が表面に出現する。それを見つけた時、鉱脈を発見したような喜びがあるという。

「発掘」と本人はその作業をとらえて言う。

磨いて出てきた姿は元あった形の根幹を宿しながら、作家の手を経た形で新しい生を得る。

作家は自分が産み落とした形を見て、「変やろ」「面白いなあ」と言いながら、展示していく。展示空間で最終の形を決められ、新しい命としてお披露目される。

「えー!これ○○に見える!」「いや△△にも見えるで!」「うわーホンマ!ホンマ!」と実に気楽に楽しい。

もがきながら生み出された形に作者が喜びを感じながら制作しているのが伝わってくる。郡山ヒロアキ_016

作者と語る楽しみ

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美術館で鑑賞することと違って、ギャラリーで鑑賞する楽しみは、直に作者と語り合える機会があるという事です。

必ずしもお目当ての作家が居るとは限りませんが、うまく会えた時は是非話かけてみてください。一見近づきにくそうでも勇気を出して語りかけてみると、以外に気さくな方が多いと感じます。

作品の内容以外を超えてテクニックや、生活などについても惜しげなく語ってくださる方も沢山おられます。

今回の展示の松岡美子さんも、様々な質問に快く誠実に答えておられ、横で見ていてもお互いが非常に楽しそうです。松岡さんも様々な方の感想が自分の次の制作に繋がると歓迎されています。

松岡さんの作品はすべてキャンバスに油絵具で描かれています。表面は油画独特の光沢で滑らかでスマートですが、奥に深いマチエールが潜みます。そこに石に刻まれたように見える線は制作の中で偶然現れるのでは無く、最初にイメージを持って挑み、画面の中でこれだ!というイメージと合致した空間や線に出会えた時に最高の快感が得られるとのお話で、本当に幸せそうな表情を見せられます。そういった表現する喜びも感じ取ることが出来るのが作家との直接の語らいの楽しみです。

そして、作品への興味や理解が深まることは間違いありません。

 

ちなみに今回スペース妙での、作家在廊日は

4月10日(金)、11日(土)、12日(日)、14日(火)、18日(土)、19日(日)、22日(水)の予定です。